2025年11月9日 子ども祝福礼拝説教「主の名によって立ち向かう」 東野 尚志牧師
サムエル記上第17章41~50節
こどもさんびか3,66,16
今日は、年に一度の子ども祝福礼拝として、教会学校と合同で礼拝をしています。子どもから大人まで、教会につながる神の家族が一緒に礼拝をしているのです。それで、普段の礼拝とは違って、教会学校のカリキュラムに基づいて、聖書の箇所を選びました。教会学校では、旧約聖書の物語を読み続けています。今日のところは、ダビデの物語になります。
ダビデは、今から3千年ほど前、ユダのベツレヘムに生まれて、イスラエルで最も偉大な王となった人です。そのダビデが、まだ小さな子どもであった頃のお話です。その頃、イスラエルの国は、隣の国のペリシテ人の兵隊によって、いつも攻められていました。ペリシテ人はとても強い軍隊を持っていて、イスラエルをさんざん苦しめていたんです。
あるとき、そのペリシテ人の軍隊の中から、見上げるほど背の高い大男が進み出てきました。何とその背の高さは3メートル近くもありました。大きなかぶとを頭にかぶって、体には重さが60キロほどもある、がっしりとしたよろいを着ていました。太くて長い槍を肩に背負って、腰には大きな剣(つるぎ)を下げています。そのペリシテ人は、名前をゴリアトと言いました。ゴリアト、いかにも強そうな名前です。
ゴリアトが、進み出て来て、大声で言いました。「おい、イスラエルの弱虫め。俺はゴリアトだ。お前たちの中から誰か一人、俺と勝負しろ」。一対一で勝負して、もしゴリアトが負けたら、ペリシテの兵隊はみんなイスラエルの手下になる。でもゴリアトが勝ったら、イスラエルはペリシテの奴隷になって仕えろ、と言うのです。イスラエルの中から名乗り出る人は誰もいませんでした。一対一でとてもかなう相手ではないということは、誰の目にも明らかだったからです。イスラエルから誰も出て来ないので、ゴリアトはますます調子に乗って、イスラエルを馬鹿にして、毎日毎日、言いたい放題でした。そんなことが40日も続いていたというのです。
ダビデは、まだ子どもでしたから、軍隊には入らずに、お父さんの羊の群れの世話をしていました。けれども、お父さんの言いつけで、軍隊に入っているお兄さんたちにお弁当を届けに来ました。そのとき、あのゴリアトのひどい言葉を聞いたんです。ただイスラエルを見下して馬鹿にするだけじゃなくて、イスラエルの神さまをも恐れない、ゴリアトの思い上がった悪口を聞いて、ダビデはもう我慢できませんでした。自分がやっつけてやる、と言いました。その言葉がイスラエルの王さまであるサウルの耳に届いて、ダビデは王さまの前に呼び出されました。
王さまは、やって来たダビデの姿を見て、ちょっとがっかりしたのではないかと思います。大男のゴリアトに立ち向かう、勇気ある兵士が名乗り出たかと思ったら、まだ小さな子どもでした。子どものたわ言であったか、と思いました。言葉は勇ましいけれど、力で相手にかなうはずがないのは明らかです。ところが、ダビデはきっぱりと言いました。「王さま、私にあのゴリアトと戦わせてください。私は父の羊の群れの番をしているとき、羊を襲いに来たライオンや熊と何度も戦って羊を守ってきました。ライオンや熊の手から私を救い出してくださった神さまは、神さまを恐れず、言いたい放題の、あのペリシテ人の手からも救い出してくださいます」。
それを聞いて、王さまは、ダビデがゴリアトと勝負するのを認めることにしました。そして、自分の立派なかぶとやよろいをダビデに着せてやりました。でもダビデにはどれも、ぶかぶかです。しかも重くて着慣れないものですから、うまく歩けません。大きな剣もかえって邪魔になります。全部脱いで、いつもの身軽な羊飼いの姿になりました。剣の代わりに、持ち慣れた杖を手に取りました。川岸へ行くと、滑らかな石を5つ選んで、袋に入れて腰に下げました。そして、襲ってきた獣を追い払うための石投げのひもを、たった一つの武器として手に持って、ゴリアトの前に進み出たのです。
ゴリアトは、見上げるような大男です。よろいかぶとに身を包んで、大きな槍と剣を手にして立っています。一方のダビデは、石投げひもを手にした小さな子どもです。勝てるはずがない。誰もがそう思いました。相手のゴリアトもダビデを馬鹿にして笑いました。「まだ子どもじゃないか。犬でも追い払うように、杖を持って俺さまに立ち向かうつもりか。さあかかってこい。お前なんか叩き潰して、鳥や獣の餌にしてやる」。
ダビデは答えて言いました。「お前は剣や槍で私に向かってくるが、私はお前が戦いを挑んだイスラエルの神さま、万軍の主の名によってお前に立ち向かう」。「この戦いは主の戦いだ」。「神さまがお前たちを倒してくださる」。そう言って、ダビデは、羊飼いの石投げひもに石をひとつ挟むと、頭の上でぐるぐる回して勢いをつけて、ゴリアト目がけて、力一杯石を投げつけました。すると、その石は勢いよく一直線に飛んで行って、ゴリアトの額、おでこの真ん中に命中して食い込んだのです。ばったーん。ゴリアトは前のめりに倒れてしまいました。
小さな子どものダビデが、石投げひもで投げた小石ひとつで、大男のゴリアトを打ち倒しました。けれども、ダビデは、自分の力で敵を倒したとは考えていません。ダビデは、神さまが助けてくださると信じて、神さまのお名前のために戦ったのです。だからこそ「この戦いは主の戦いだ」と言いました。普通に考えたら、とても勝てる相手ではありません。けれども、ライオンや熊の手から守ってくださった神さまが、神に敵対する大男の手からも守ってくださいました。神さまの力を信じたダビデを、神さまは助けてくださったのです。どんなときでも、神さまを信じ、神さまに祈る。そのとき、神さまは必ず助けてくださるのです。
小さなダビデが、やがて成長して、イスラエルの最も偉大な王になります。そして、このダビデの子孫として、救い主であるイエスさまが、ダビデの町ベツレヘムで、まことの王として、この世に生まれてくださいました。イエスさまを信じて、イエスさまのお名前によって祈るとき、神さまは必ず助けてくださいます。神さまが、私たちの味方になってくださったのです。

